梅雨

梅雨が始まるとなると、みんな不機嫌そうな顔になる。
でも僕は好き。この時期を春や夏と同じにするのであれば、1番感じ取りやすい季節だから。
雨の匂いと音、それに街全体が暗くなる。それなのに19時まで夜がやってこない面白さ。ずっと雨が続くから縛られる事柄が一つ減るし、猫が外に出て危ない目にも遭わない。

でもスコールのようなゲリラ豪雨や夜になっても湿度が高いなんて聞いてない。
あれは梅雨じゃない。
永遠とポタポタ、ポタポタと樋から水滴が滴れるのを数えられるくらいの、雨が好ましい。
それだったら、みんなが不機嫌なのも許せる。

よく絵本やカレンダーでも紫陽花の葉にカタツムリが乗ってる絵を見かけるけれど、生まれてこのかた、そんな場面に出会ったことがない。
なぜなら、紫陽花の葉には少量の毒があるのだから、そんなものを食べるはずもないし、乗るはずもない。