3月の雪

雪はゆっくりと下ってゆく。

速度を変えず我を案じたままに。

変化を臆する事もせず、我が物とし、表現をするように。

私には最も響く物事なのだよ。

夢矢、何が起きたのだと分かりはしないが、そんな事柄をモノともせず自分へと昇華するそんな生き様は各雄偉人の様な気がするのだよ。

ペースを乱しながら、周囲の心情を変えながら、綺麗に形取りながら落ちる様は、初めてロックスターを見た感情に似たような、異世界の、異文化の、幾何学な物をみた様な感覚を与えながら落ちて行く様は、一種の冬の出来事の、冬の風物詩とは言い難い普遍的な出来事に感じます。

3月に降ったあの雪は、正しく私に問いかける様にそう呟いているのです。そう、呟いているのです。終わりかけの花弁のように、最後の力を振り絞り私に怨を垂れるのです。